骨密度と筋力トレーニングの関連性|骨は「負荷」で強くしよう

  • 2023年7月6日
  • 2023年7月6日
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骨は「使えば使うほど強くなる」と言われていますが、その真偽はどうでしょうか?また、骨密度を高めるためにサプリメントやカルシウムの摂取だけで十分なのでしょうか?本記事では、これらの疑問を解明します。

骨は負荷で強くなる

骨密度をアップさせるためには、適度な運動が重要です。NASAの宇宙飛行士に対する研究によれば、無重力状態では骨量が減少するという結果が示されています。これは、地球上での生活では当たり前の「重力」という負荷が、無重力空間では0になっているからです。

そのため無重力空間で長期間滞在する宇宙飛行士たちは、毎日特殊な運動マシンを使って筋力トレーニングに励みます。適度な運動負荷が骨に与えられることで、重力のない環境下でも骨密度が増加させたり維持できることが可能だからです。

サプリメントとカルシウムだけでは骨密度アップは難しい

サプリメントやカルシウムの摂取は骨密度の向上に一部貢献しますが、それだけでは十分ではありません。2018年にNew England Journal of Medicineに掲載された研究によれば、カルシウムサプリメントやビタミンDの摂取だけでは骨折リスクを有意に減少させることはできないと結論付けられました。
つまり、栄養だけでは骨は強くならないのです。

私が幼い頃、田舎の曽祖母は牛乳屋さんが配達してくれる、今となってはレトロな瓶の牛乳を毎朝飲んでおりました。
でも高齢のせいもあり、運動している様子はありませんでした。

曽祖母が骨のために飲んでいたのかどうか、もう知る術がありませんが、もし骨の健康のために飲んでいたのであれば、「ばあちゃん、それよりも散歩しようよ」と教えてあげたかったです。

寝たきりの生活をすると、どんなに牛乳やカルシウムサプリメントを補給しても、骨密度を高めることは限りなく難しいでしょう。寝たきりまでいかずとも、ほとんど座ってテレビを眺める生活出会っても同様です。運動しなければ骨密度はアップしません。栄養補給だけではダメなのです。

ただし、毎日の牛乳や栄養補給が無意味と言っている訳ではありません。骨は「負荷」という刺激が加わり、「もっと強くなろう」とミクロ単位での補強を始めますが、その時に体内に骨の材料(栄養)がなければ補強が進みません。

そのため、骨の回復、形成のためにも、運動と栄養はセットと考えて食事も意識してみましょう。牛乳やサプリメント、食事の栄養が活かされるのは運動習慣があってこそなのです。

骨密度アップに最適なトレーニング方法とその負荷・回数

骨密度を高めるためには、骨に普段以上の負荷がかけられるエクササイズが効果的です。重量を持ち上げたり、自身の体重を支えるエクササイズ(ウェイトトレーニング(筋トレのこと)、ヨガ、ピラティスなど)が最も効果的とされています。

高齢者やシニア層で、運動としてプールで水中歩行を選ぶ方は多いです。これは関節痛のリハビリや、低体力者の運動初期段階としては最適ですが、関節に問題のない方が、骨密度や筋力アップ目的に選ぶのであれば、それはかなり目的から外れているといえるでしょう。

骨密度アップ、筋力アップを狙うなら、日常生活には得られない負荷をかけることができるエクササイズを選ぶべきです。その最たるものが「筋力トレーニング」です。

筋力トレーニングで骨密度アップを目指すなら、まずは、週に2-3回、各回20-30分程度を目指すのが理想的です。過度なトレーニングは逆効果になる場合もあるため、適度な強度と回数が重要ですが、この目安を知るにはある程度の経験が必要です。最初のうちは、10〜15回ほどで反復が難しくなる強度で1種目2セット、これを全身3〜6種目からスタートしてみましょう。

結論:骨密度アップと筋力トレーニング

骨密度をアップさせるためには、適度な筋力トレーニングとバランスの良い食事が重要です。サプリメントやカルシウムだけでは骨密度アップは難しく、科学的にもそのことが証明されています。トレーニングの強度や回数も適度に保つことで、骨密度の増加とともに全体的な健康状態の向上も期待できるでしょう。

骨密度アップのための筋力トレーニングのアドバイスをするならば、「一歩一歩、階段を登るように、負荷をあげていくこと。そして、それを継続すること。」、これが最も大切です。

毎回疲労困憊まで鍛える必要はありません。前回よりも一回だけ増やしたり、0.5キロ増やして、同じようにトレーニングするだけで良いのです。もしそれを週3回、半年間続けられたら、骨にかかる負荷はスタート時とは比べ物にならないほど高いものになっているでしょう。体が強い負荷に耐えられるようになればなるほど、骨密度も向上していきます。

そして、骨へのトレーニングは頻度が重要です。
散歩や軽いジョギング程度の運動なら毎日行ってほしいですし、筋力トレーニングなら週に2-3回は、しっかりと骨に負荷をかけてあげましょう。もちろん週に1回しか通えない人でも諦めないこと。週に1回でも、0回の人よりは100倍骨に良い習慣となるでしょう。

まずは行動。身体を動かして、骨に負荷をたくさんかけましょう。慣れてきたら、もう少し負荷を上げてみましょう。重りを増やしても良いし、回数を増やしても良いでしょう。何回も行動していけば、自分にとっての「ちょうど良い負荷」が理解できるようになってきます。

毎日せっせと動いて、身体を使って動き回る。これが骨密度アップの基本であり、これ以上ない手段だといえるでしょう。
骨を強くしたいなら「負荷」をかける。ぜひ覚えておいてください。